ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)

更新日付:2025年03月25日

ZEB(ゼブ)とは

ZEB(ゼブ)とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略で、消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことを指します。

建物の中では人が生活しているため、エネルギー消費量を完全にゼロにすることは難しいですが、省エネによってエネルギー使用量を減らし、創エネ(再生可能エネルギーの利用)で必要なエネルギーを自ら生み出すことで、エネルギー消費量を実質ゼロにすることが可能です。

ZEBの建物は、エネルギー消費量削減の達成状況に合わせて4段階に分類されています。

1. ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

ZEBとは、年間のエネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物。省エネを50%以上実現し、さらに創エネによって100%以上のエネルギー消費量削減を達成している建物のことです。

2. Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

Nearly ZEBは、ZEBに非常に近い建築物で、ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーを活用して年間のエネルギー消費量をゼロに近づけた建物。省エネを50%以上実現し、創エネによって75%以上のエネルギー消費量削減を達成している建物です。

3. ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)

ZEB Readyとは、ZEBを目指した先進的な建築物で、高断熱化された外皮と高効率な省エネルギー設備を備えた省エネを50%以上実現している建物。

4. ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)

ZEB Orientedは、ZEB Readyを見据えた建物で、高性能な外皮と高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーを実現するための措置が講じられたものを指します。

ZEBのメリット

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)には、エネルギー消費量の削減だけでなく、さまざまなメリットがあります。
建物に関わるさまざまな人、それぞれの立場によって得られるメリットは異なりますが、ZEBを実現・普及させるためには、各立場の人々がそれぞれのメリットを理解し、協力し合うことが重要です。

具体的なメリットは以下の通り

  • 光熱費の削減…経費削減、テナント誘致の競争力向上
  • 快適性・生産性の向上…職員・従業員の満足度アップ、業務効率や集客力の向上
  • 不動産価値の向上…資産価値の増加、建物や街自体の魅力向上
  • 事業継続性の向上…災害時の活動拠点として活用、リスクへの対応力強化、災害時の避難先確保

ZEBを実現する方法

ZEBを実現するには、建物のエネルギー消費量を削減できるよう、さまざまな技術を適切に組み合わせて導入することが必要とされます。
その方法としては、大きく分けて消費エネルギーを削減するための技術(省エネ技術)と、エネルギーを創出するための技術(創エネ技術)の二つ。

実際にZEBを実現する際には、以下のステップが重要です。

  1. パッシブ技術※1を用いてエネルギー需要を減少させる
  2. 必要なエネルギー需要についてはアクティブ技術※2を活用して無駄なく使用する
  3. そのエネルギーを創エネ技術で賄う

※1 必要なエネルギー需要を減らすための技術(ex.外皮断熱、日射遮蔽、自然採光)

※2 エネルギーを効率的に利用するための技術(ex.高効率空調、高効率照明)

建物の運用段階においては、エネルギーの無駄がどこに発生しているか、どのように設備を効率的に運用するかを検討することも必要です。
このために、エネルギーを管理する技術(エネマネ技術)も不可欠であり、その活用により継続的なエネルギー消費量の削減が可能となります。

省エネ技術、創エネ技術、エネマネ技術を導入するには初期投資が必要ですが、ZEBを実現する建物に対しては、国による補助事業が行われています。