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更新日付:2025年03月25日
地球温暖化対策や省エネの観点から注目されている住宅のスタイルが、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)=ZEH(ゼッチ)といいます。
これは家庭で使用するエネルギーと、発電により得るエネルギーのバランスを調整し、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家のことです。
ゼロ以下を目指すためには、消費エネルギーを減らす「省エネ」、再生可能エネルギーを創り出す「創エネ」がカギになります。
省エネは、断熱性能を高めてエネルギー使用量を抑え、エネルギー効率の高い設備や機器の導入によって省エネルギーを実現すること、創エネはその名称通り、エネルギーを創出すること。
再生可能エネルギー設備の中でも、太陽光発電システムを設置する場合が多く、創出エネルギーを多様に活用できるよう蓄電池も併せて備えることが一般的です。
強化外皮基準は建物の壁、断熱材などを含めた外皮の断熱性能を判断する基準。地域ごとに異なるUA値※1が定められており、具体的には0.4以下、0.5以下、0.6以下とされています。寒冷地では、より高い断熱性能が求められるため、基準が厳しく設定されています。
たとえば、東京は0.6以下の基準地域ですが、北海道は0.4以下の基準地域です。一方、省エネ基準では、最も厳しい地域で0.46以下、緩い地域で0.87以下と定められており、ZEHの基準はこれら省エネ基準よりも厳しいことが分かります。
※1 外皮を介して住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを示す数値。UA値が小さいほど熱が逃げにくく断熱性能が高く、UA値が大きいほど断熱性能が低い。
一次エネルギーとは、石油や天然ガスなど自然界に存在する物質を直接エネルギーに変換することで得られるエネルギーのことです。つくり出すために燃料を必要とする電気は、二次エネルギーに分類されます。
ZEHを実現するためには、断熱性能や冷暖房や給湯設備のエネルギー効率を高めたりすることで、消費エネルギーを削減し、目標水準となる基準よりも20%以上削減することが求められます。
太陽光、地熱、風力などの再生可能エネルギーシステムの導入。
風力発電を導入している住宅も存在しますが、風力発電は設置に適した地域や条件が限られているため、風力だけでZEHの基準を満たすことは難しい場合が多く、ZEH取得を検討している大多数は、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーシステムの導入を進めています。
一次エネルギー消費量から太陽光発電システムなどにより生成されたエネルギー量を差し引いて0以下になると、基準の一次エネルギー消費量を100%以上削減したことになります。
実質的に一次エネルギー消費量がゼロ以下の状態に達したことを意味します。
ZEH住宅のメリットには、次のようなものがあります。
断熱性能や省エネ設備によって冷暖房の効率が向上し電気の使用量を削減できます。また、太陽光発電などの創エネ設備で自宅で電力を賄えるため、電力会社からの供給電力を減らし、余剰電力を売電することで収入を得られる場合もあります。
高断熱性能により、室温を一定に保ちやすく快適。室内の温度差が小さくなることで、ヒートショックのリスクを抑えられます。また、高気密の住まいは遮音性の向上にもつながります。
太陽光発電や蓄電池の活用により、停電時でも電気が使用できます。
省エネ性能が高い住宅は、将来の売却時に有利になる可能性があります。
家のエネルギー収支を実質ゼロ以下にすることで、脱炭素社会の実現に貢献できます。
ZEH住宅は、住宅を購入する人や建築を依頼する人にとって、資産価値が高く、環境にも配慮した理想的な選択肢となっていくことが見込まれます。
2025年4月にすべての新築住宅を対象に、省エネ基準適合が義務化となり、2030年までにはさらにZEH水準の基準が引き上げられます。
エネルギー効率の良い生活が多くの家庭で実現できるよう、補助金や減税制度も省エネ基準を満たす住宅向けに拡大される見込みです。
ZEHが義務化されることによって、省エネ基準を満たす住宅が対象となる住宅ローン減税や補助金の条件も変わることが想定されます。高い省エネ性能を持つ住宅には、減税の優遇や補助金が適用される可能性があり、その結果として住宅購入時の負担が軽減されることが考えられます。